構造タンパク質で地球規模の資源問題・環境問題解決を目指す

Spiber株式会社

事業内容

Spiber株式会社は慶應義塾大学冨田勝教授研究室出身の関山氏及び菅原氏によって2007年に設立されたアカデミア発スタートアップです。持続可能な社会の発展に資する次世代の基幹素材として、人工構造タンパク質素材の開発に取り組んできました。

2013年に構造タンパク質繊維で織られた青いドレスを、2019年には素材名を改めて「Brewed Protein™️」と発表し、ザ・ノースフェースからTシャツとアウトドアジャケットを限定販売するなど、量産に向けた準備を行なっています。

構造タンパク質技術で世界をリードするSpiberの繊維は、サステナブルへの関心、ニーズの高まりに応じてアニマルフリー・マイクロプラスチックフリー・環境分解性が求められるあらゆる製品への活用や貢献が期待され、今後の研究・素材開発も、素材・化学産業にとって大きなインパクトを与える可能性を秘めています。

マネジメントインタビュー

関山和秀
取締役兼代表執行役

会社設立経緯

高校に入学してすぐ、授業でルワンダの虐殺に関するドキュメンタリーを見たことをきっかけに、人類にとって「平和」がいかに普遍的な価値であるか、そして、その普遍的な価値を脅かす「戦争や紛争」のリスクを高める地球規模の課題、例えば食糧問題、エネルギー問題、環境問題の解決に、自分自身が貢献したいと強く思うようになりました。

そして高校3年となった2000年、私の恩師である慶應義塾大学の冨田勝教授と出会いました。

「コンピューターサイエンスとバイオテクノロジーを横断する新しい科学技術が、21世紀における地球規模の課題を解決する鍵となる」と熱弁される冨田教授のビジョンとエネルギーで完全にスイッチが入り、この新分野を切り拓くため2001年に山形県鶴岡市に開所されると聞いた慶應義塾大学先端生命科学研究所(先端研)で、自分自身も人類社会に大きな貢献ができる事業に取り組もうと決心しました。

タンパク質を素材という観点で意識することになったきっかけは「クモの糸」でした。2004年、研究室の合宿中「直径1cmクモの糸で巣を張ればジャンボジェットを受け止められる!?」という話題から、機能と環境性を両立する素材としてクモの糸を実用化できないかと考え、私と菅原で研究を開始。それから3年後の2007年、試験管レベルでの人工構造タンパク質の合成に成功し、博士課程在学中にSpiberを起業しました。本当に実用化を目指すのであれば、大学で獲得できる研究費では全く足りないと考えたからです。

設立後の日々

約15年間にわたり、地球の生命・生態系の基幹素材であるタンパク質を産業的に使いこなすためのインフラ整備や普及に向けた様々な取り組みを進めてきました。最初の10年は、自分たちが思い描く研究開発を行うためのピースづくりを、ひとつひとつ地道に進めてきたという印象です。

その結果として、構造タンパク質を自由自在に操るための基礎となる技術基盤が整い、この数年はデータを取得・蓄積して分子設計や宿主設計にフィードバックし、素材やプロセスの進化を加速させていくという、指数関数的な成長段階に入っています。400件を超える特許をグローバルに出願し、本分野におけるパイオニアとして、圧倒的な競争優位性を確立することができています。

今後の事業展開

現在、年産数百トンレベルを見込んだ量産工場をタイに建設し、2021年中の商業生産開始を目指して試験運転に入っており、また、数年後には年産数千トンレベルの工場をアメリカにて稼働させるべく、準備を行なっています。数百トン・数千トンという規模は、ナイロンやポリエステルと比べれば、1万分の1程度の規模であり、ようやくスタートラインに立ったというところです。

アパレル分野に留まらず、今後様々な産業分野、アプリケーションへの応用を目指し、持続可能な社会の実現、地球規模の課題解決に貢献できるよう、引き続き尽力してまいります。

UMI担当者コメント

投資検討から投資後の支援に従事しています。
構造タンパク質分野において、世界をリードしている当社は、分子設計から、タンパク質の発酵生産、糸加工まで、全てインハウスで垂直統合したプラットフォームが確立され、プロセスの全体を通した最適化を実現しました。多くの分野において、サスティナブルな素材として地球規模の課題解決を実現していくことを期待しています。

馮孝亮

プリンシパル

当社への投資実行に従事致しました。
発酵だけでなく紡糸工程までを一貫して行うことで、困難と言われた構造タンパク質の低コスト生産に筋道をつける豊富な技術力の蓄積や社会に役立つことをしようとメンバーが強い思いに共有していることに感銘いたしました。日本発の新バイオ素材により、今後の社会に大きなインパクトを生み出していくことに期待しています。

坂元亮介

アソシエイト