2050年に『排熱』のない社会を実現します

POLASTECH株式会社

事業概要

POLASTECHは、データセンターおよび産業分野における冷却エネルギーの革新を目指すディープテック企業です。私たちの吸着ヒートポンプ技術は、これまで捨てられてきた低温排熱を活用し、電力消費とCO₂排出を同時に大幅に削減します。実証済みの技術を基盤に、排熱利用の社会実装を加速しています。

当社は三菱ケミカル株式会社が保有してきた高性能ゼオライト「AQSOA®」およびAHP関連技術を戦略的に承継し、その社会実装を加速するためにカーブアウトにより設立されました。 AQSOA®を中核材料とする吸着ヒートポンプ(AHP)を主力事業とし、生成AI時代に拡大するデータセンターの排熱問題を解決する次世代冷却ソリューションの開発・展開を進めています。

生成AIやクラウド需要の拡大により、データセンターの電力消費は急増しています。特に、サーバーから発生する50~60℃の低温排熱は十分に活用されておらず、冷却電力の増大やPUE(Power Usage Effectiveness)改善の阻害要因となっています。

POLASTECHのAHPシステムは、この低温排熱を直接エネルギー源として活用できる点が最大の特長です。従来の電力依存型冷却方式とは異なり、排熱そのものを駆動源として冷熱へ転換することで、
• 冷却電力の削減
• PUEの改善
• 排熱の再資源化
• 脱炭素経営への貢献
を同時に実現します。

さらに、近年台頭する液冷・液浸冷却方式とのハイブリッド構成にも適用可能であり、データセンター全体のエネルギー効率をさらに高めるソリューションとして展開を進めています。

図1:当社が開発する熱駆動のヒートポンプ(AQSOA-AHP)

図2:当社の強みであるゼオライト吸着剤(AQSOA-Z05)

マネージメントインタビュー

垣内 博行
代表取締役

会社設立まで

私は三菱ケミカル在籍時から、低温排熱を活用する技術に新規事業として挑戦してきました。試行錯誤を重ねる中で、AQSOA素材を用いた吸着ヒートポンプの技術的成立性に手応えを得る一方、当時は市場環境や事業化のタイミングが必ずしも整っているとは言えませんでした。しかし近年、データセンターをはじめとする排熱市場を取り巻く環境が大きく変化し、今こそこの技術が社会に必要とされると確信するに至りました。自ら関わって育ててきた技術を、責任を持って世に出す。その覚悟を持って三菱ケミカルを退職し、POLASTECHの設立を決断しました。

設立後の日々

設立にあたっては、リード投資家であるUMIと度重なる壁打ちを行い、事業計画や資本政策を推敲してきました。三菱ケミカルとしても資本参画を伴うカーブアウトは初の試みでしたが、こうした議論を積み重ねることで、2026年2月にシードラウンドの資金調達と親元企業からの技術移転が完了し、カーブアウトスタートアップとして走り出す環境が整いました。

現在は、社内体制の整備に取り組みながら、用途や顧客の検証、サプライチェーンマネジメント、事業モデルの磨き込みに注力しています。幸いにも、三菱ケミカルから同じ志を持って参画したメンバーに加え、社外からも多様なバックグラウンドを持つ仲間が集まってくれています。技術に対する理解と愛情を共有しつつ、時には厳しい議論を重ねながら、本気で社会課題の解決に取り組めるチームが形になりつつあります。スタートアップとしての難しさを実感する場面も多い一方で、それ以上に大きなやりがいを感じています。

今後の事業展開

今後は、データセンター用途を起点に、吸着ヒートポンプの社会実装を着実に進めていく考えです。低温排熱という、これまで十分に活用されてこなかったエネルギーを価値に変えることで、空調やエネルギー利用の在り方そのものを変えられると信じています。また、当社の技術は排熱利用にとどまらず、AQSOA素材が持つ吸湿性という特性を生かし、他用途へ展開できる可能性も有しています。実際に、設立後すでに多くの問い合わせをいただいており、社会からのニーズの強さを実感しています。現在は複数の企業や研究機関と連携し、POCに向けた準備も進めています。まずは実証とPMFの確立に集中し、その上で産業排熱など周辺分野への展開も視野に入れていきます。仲間とともに、技術を社会に届け、結果として世の中を少しでも良くしていく。その挑戦を、腰を据えて続けていきたいと考えています。

UMI担当者コメント

最初に垣内さんが相談に見え面談した際、これまで日の目を見ていないが差別化ポイントが明確なAQSOA技術に、データセンターの電力問題を始め時代が追い付いてくる可能性を感じました。また並々ならぬ垣内さんの熱意も印象的でした。親元企業の信用力やネットワークの強みは活かしつつ、カーブアウトによりスピード感ある意思決定や、外部リソースを柔軟に投入できる体制を得たことで、事業成長は一段と加速すると期待しています。今後もPOLASTECHの企業価値を最大化すべく全面的に支援して参ります。

山本 洋介

UMIベンチャーズ代表取締役