

Transforming supply chains to make valuable compounds accessible to all
ファーメランタ株式会社は、合成生物学を活用し、天然由来の希少成分を微生物による発酵で生産する革新的な技術を有するバイオテクノロジー企業です。微生物への多段階遺伝子導入と、その精緻な制御を核としたプラットフォーム技術を保有しており、多様な植物由来原料の生産に柔軟に対応可能で、技術の横展開性にも優れています。近年、持続可能な化学産業への転換に向け、微生物や細胞を活用した「バイオものづくり」が急速に注目を集めており、その中でも「合成生物学」は、バイオものづくりを加速させる中核技術として注目されています。生物の機能をモジュール化し、目的に応じて再設計・構築する工学的アプローチにより、従来技術では困難だった物質の柔軟かつ迅速な生産を可能にします。ファーメランタ社はこの分野において、分子構造を問わず多様な化合物を安価に生産できる技術開発を進めており、化学合成や植物抽出に依存しない新たな産業構造の創出し、持続可能な未来の実現に貢献していきます。
私は、学生時代にマラリアの患者の多いケニアに滞在していた際、米国の合成生物学のスタートアップが中国原産の植物から抽出される抗マラリア薬の原料を、微生物によって商用スケールで発酵生産することに成功したというニュースを知りました。この技術を利用して医薬品や栄養成分を供給すれば、熱帯地域に向かない農業を行うことなく、発酵タンクさえあれば、どこでも人々の健康に有用な成分を届けられるため、合成生物学の可能性に強い関心を持ちました。新卒から外資系の投資銀行に勤務した後に、合成生物学によるモノづくりを志向する研究シーズを探索していた際、生研支援センターのSBIRプログラムにおいて、共同創業者の石川県立大学の研究者であった南と中川と出会いました。意気投合し1年近い準備期間を経て、2022年10月に当社を創業しました。
シード期の資金調達や大型の国プロの採択を経て、研究開発体制を拡充して来ました。また複数の事業会社との連携プロジェクトが立ち上がり、事業開発体制も充実しています。国内外から当社の実現したいビジョンを共有するメンバーが次々に参画しており、創業から3年弱で、40名以上の従業員を抱える規模まで成長しました。現在は、商用生産を見据えたスケールアップフェーズに向けて、開発を進めています。
事業会社との共同開発プロジェクトを推進しつつ、将来の自社製品の製造販売に向けての開発を進め、パイプラインを積上げることで、より多くの従来のサプライチェーンにおける供給課題の解決を目指します。2027年には外部との連携を通じた商用生産を達成し、その後自社の製造体制の確立に向けて準備を進めます。長期的には、ものづくりを通じて新しい発酵産業をつくることで、持続可能な社会へ貢献します。
UMI担当者コメント
ファーメランタ社のハンズオン支援に従事し、社外取締役としての役割を担っております。同社が目指す、バイオプロセスによる革新的な物質生産は、既存の産業構造に大きな変革をもたらす可能性を秘めていると確信しています。
ファーメランタ社の先進的な技術が社会に広く浸透し、持続可能な未来の実現に寄与することを、心から期待しています。
柴藤祐介
アソシエイト