投資先ベンチャー インタビュー

国内で唯一、建設用3Dプリンタを
研究開発し、業界の未来を創る

株式会社Polyuse 執行役員
マテリアル研究開発責任者 博士(工学)

鎌田 太陽氏

現場で安全に誰もが取り扱えるものを目指し、チーム連携による開発

Polyuseは建設業界に特化し、建設用3Dプリンタの研究開発からサービス運用までを一貫して行うディープテックベンチャー企業です。私は、大学院博士課程に在籍中にPolyuseにジョインし、創業メンバーの一員として立ち上げから関わってきました。PolyuseのVISION・MISSION・VALUESに賛同した仲間が徐々に増え、数名だったメンバー数は50名近くになり、事業スピードと共にスケールしていることを実感します。

Polyuseの開発部門は、研究開発チームとグロースチームの2つで構成されています。グロースチームは、お客様からの最初の相談から納品後の活用まで、3Dプリンタによってお客様の業務がより良くなるような活用方法やニーズを掘り下げる、伴走チームです。研究開発チームはさらに、ハードウェア、ソフトウェア、マテリアルの3つに分かれています。ハードウェアチームは、セメントと水などを混ぜた材料を3Dプリンタから送り出す機構や送り出された材料を図面に沿って三次元の形状に配置する機構の開発などを担っています。ソフトウェアチームは、成形過程のデータや積層アルゴリズムを分析し、3Dプリンタを動かす頭脳部分と、お客様が操作する画面のUIを設計しています。

私が責任者を務めているマテリアル開発チームでは、建設用3Dプリンタで使う材料の開発を行なっています。コンクリートの材料であるセメントを、硬化する前の状態で積み上げられることや、コストや環境性も考慮した材料を提供できるよう研究を進めています。屋外で使用する建設用3Dプリンタは、外部環境を考慮した開発がすべてにおいて求められます。なかでも特に材料は天気や気温の影響を受けやすいため、現場によって異なる条件を加味し、高い流動性と吐出後の形状保持力を備えられるものを、日々研究しています。

開発した材料をプリントアウトする際の要件はハードとソフトにも関わるため、研究開発チーム一体で連携し、筋の良い、全体的に最適化された開発になるよう取り組んでいます。材料へのアプローチだけでは対処しにくい課題も、ハードやソフトの改良により早く解決できるケースが珍しくないからです。また、お客様が抱えている課題も、研究開発チーム全体で連携することで解決スピードが上がるため、縦割りにならないよう意識しています。加えて、お客様が材料を扱う際の調整ごとを極力減らし、現場の方がどなたでも安全に取り扱えるものであるよう考慮して、材料も3Dプリンタも開発しています。

現場と近く、社会的意義を肌で感じられる研究開発の場

Polyuseで働く中で、魅力であり、やりがいを感じるポイントは、お客様との距離が近く、プロダクトに対する忌憚ない意見を直接いただけることです。率直なフィードバックをいただきながら開発できる環境はエンジニア冥利に尽きます。グロースチームがお客様に伴走していることもありますし、開発メンバーも直接現場に足を運び、どのような場所でどう使われるのかを実際に経験することで、お客様からのフィードバックと合わせ、「現場」を意識した開発に繋がっています。

一般の方では見られない道路や橋、ダムなどの工事現場に立ち会って仕事が出来るのは、とても貴重な経験で、インフラ設備に対する感謝の思いも感じます。誰かが作って、誰かが保守しているからこそ使えること、Polyuseがその一端を担い、社会の役に立てることに誇りと使命を感じます。社会的意義を直接体感できることは、特に研究開発ではレアだと思います。

また、社内でチームや立場の垣根なく、議論の場に自由に参加でき、横断的にさまざまな開発に関われ、学べる機会があることも、Polyuseで働く魅力の1つです。どんなことでも尋ねれば喜んで教えてくれる環境で、各チームメンバーがその分野のプロフェッショナルのため、普通ではなかなか学べないレベルまでのことが吸収できます。私自身、専門領域外で初歩的な内容しか知らなかったことも、他チームメンバーから技術や知識を実践的な形で学べています。学ぶ中で、それぞれのチームのプロジェクトに対するアプローチの仕方や考えるポイントなど、相互理解にも繋がっています。

業界の皆さんと共に、建設や土木の業界の未来を創る

2024年9月より先行予約受付を開始した国産建設用3Dプリンタ『Polyuse One』

職人さんが減っている業界課題もあり、建設用3Dプリンタの相談が増えています。発注図面を建設会社さんと一緒に見て、どう進められるか、ボトルネックになるポイントがあるのかを話し合い、最適解を探していきます。3Dプリンタの活用によりどう合理化されるのか理解の上、採用されるケースが増えてきました。3Dプリンタを活用すると、複数の作業工程を同時並行出来るようになるため、工期の短縮、人手不足対策になっているとの声もおかげさまで多数いただくようになりました。

建設用3Dプリンタは、土木や建築の業界にこれまでなかった新しい技術のため、指針づくりが進んでいます。Polyuseからは私も参画し、現場で安全に安心して建設用3Dプリンタを活用できるよう、業界の皆さんと共に、どのような基準が必要なのかなど検討を進めています。業界の未来を、業界の皆さんと一緒に作っていけること、土木や建築業界の様々な企業の皆さまが、Polyuseのような新しい技術に関心を持ち、柔軟に対応していただけることに非常に感謝しています。

いよいよ、国内唯一の建設用3Dプリンタメーカーとして「Polyuse One」の量産製造が25年度よりスタートします。Polyuseが目指す「人とテクノロジーの共存施工」の実現に向けて、一緒に取り組めるメンバーを募集しています。生活する上で必要不可欠な社会インフラ構築にこれまでの経験を活かして、日本の未来に繋げていきましょう。責任感があり、自身で行動できる方、好奇心旺盛で様々な人やプロジェクトと関わるのが得意な方は是非チャレンジしてください。お待ちしています!