UMI インタビュー

研究から生まれた技術を
社会実装するため、研究者から投資家へ

プリンシパル 博士(工学)

沈 相勲

生まれた技術を社会で生かせるようにしたい

韓国で化学工学を専攻しており、大学4年時の研究室でバイオものづくりに関心を持ちました。バイオものづくりは化石資源に比べて省エネルギーかつ高効率で生産ができるため、脱炭素に向けた社会課題解決に貢献できるだけでなく、化学素材や燃料、医薬品などさまざまな産業分野に活用できる可能性を秘めています。そこで、研究が進む日本の大学院に留学して、修士号・博士号を取得しました。卒業後、化学メーカーへ就職し、研究職としてバイオ及び化学系の研究テーマに従事していました。

「世の中の役に立つものを作り出したい」その思いで学生時代から研究職も含め、研究を続けてきましたが、研究過程は基礎研究を積み上げていくため長い時間を要します。企業をとりまく環境や社会情勢も常に変化するため、優れた技術や研究テーマであっても、企業判断により研究を止めることや、大学での技術シーズが論文止まりになってしまうことに対して勿体無いと感じていました。そこから、「生まれた技術を社会に生かせるようにする。そこに関わる仕事をしたい」と思うようになり、転職活動を始めました。新規事業に積極的に取り組むメーカーやコンサルティングファームなどが候補でしたが、投資だけでなく、技術シーズの事業化やハンズオン支援によりベンチャー企業の成長を支援しているUMIの存在を知りました。投資や経営支援は私にとって未知の領域でしたが、学生時代から研究職まで培ってきた経験と知見を活かして、研究によって生まれた技術を社会で生かせるように支援したいとUMIへの入社を決意しました。

大企業とベンチャー、それぞれのニーズを加味したマッチング役

入社後は投資家として、新規投資案件の発掘(ソーシング)、投資検討から投資実行、投資後のベンチャーに対して経営支援や関連企業とのアライアンス交渉、顧客紹介などの業務を担当しています。私は国内、海外の投資先ベンチャー数社を担当し、事業方針やマーケティングなどの各種戦略立案、国内外の顧客拡大、資金調達や人材採用など、各投資先ベンチャーの課題に沿ったサポートをハンズオン支援で行っています。

またUMIでは、ファンドへの出資者(LP:Limited Partner)に対して、ニーズに応じた個社対応も行っています。例えば、LP企業が今後の展開先として検討している分野の技術トレンドやベンチャーの情報提供、ものづくりを行うLP企業へ環境負荷低減技術の調査や提案、LP企業が着目している技術へのUMIの投資仮説による検証など。LP企業は大手化学メーカーをはじめ、さまざまな事業会社があるため、対応の幅も多岐に渡ります。ベンチャーの技術をLP企業へ紹介する際には、必ずベンチャー側にプラスになるよう、共同開発や協業、共同投資の視点を盛り込むようにしています。素材・化学分野は特に、事業拡大するための工場や設備、ノウハウなど、ベンチャー単独ではハードルが高い部分を、大企業と連携することで資金や時間が少なく出来るため、UMIはそのマッチング役も担っています。大企業側にとっても、自社だけではなかったアイデアや技術情報が得られ、自社の新規事業へ繋がる可能性もあるため、UMIへ相談してみようとなるわけです。

私が担当する投資先はバイオやライフサイエンス、繊維など幅広く、技術革新は日進月歩です。初めて携わる技術領域も多いため、日々専門知識の習得が欠かせません。膨大な文献レビューから必要な情報を収集するリサーチ力、それをわかりやすく相手に伝えるコミュニケーション力、短時間で効率的に知識を身につけるタイムマネジメント力などは、博士課程や研究職での経験が大いに役立っています。

研究職の経験が活かせ、やりがいのある投資家業務

投資プロセスの中に、デューディリジェンスがあり、そのベンチャーが持つ技術に対しての調査や分析を行っています。自分の案件以外にも、サポート役としてデューディリジェンスのチームに加わり、これまで研究職などで培ってきた知見も活かして分析を行い、投資シナリオを策定しています。自分が携わった案件が投資決定した際には最初の一歩を踏み出せた到達感があります。

担当投資先のハンズオン支援においては、事業戦略などベンチャーの経営にも関わるためやりがいがあり、自身の成長にも繋がっていると実感しています。LP企業からの相談は対象の幅が広いことが多いため、ヒアリングや業界動向などから課題のポイントを抽出し、その解決策を具体的に提案するようにしています。その提案が相手の要望に合致していた際には達成感があります。

VC・投資家は金融というイメージが強く敷居が高く感じるかもしれませんが、UMIでは私のようにメーカーの研究職や、コンサルティング業界出身者など、金融業界以外でキャリアを積んだ方が多く在籍しています。また、LP企業からの出向生も在籍しているため、これまで関わることになかった様々な分野の方と一緒に働けます。ロジカルな思考力と仮説思考を持ち、ベンチャーの成長と素材・化学産業の発展に寄与したい熱い想いを持つ方が活躍できる環境がUMIにはあると思います。

世の中には社会的価値の高い研究技術があっても、まだまだ社会実装できていないケースがたくさんあります。未来を照らす技術を実用化・事業化して、社会がより良くなることを目指しています。将来は起業して自身のアイデアを実現させ、社会に生かしたいと考えています。